2019年12月例会のお知らせ

12月の研究例会についてご案内いたします。

今回は「学校の怪談」について研究をされている若手研究者3名をお招きし、それぞれのご研究についてお伺いすると共に、会員の皆様との意見交換をさせていただく回といたしました。

日時:12月1日(日)13時開始(17時閉会予定)
場所:國學院大學渋谷キャンパス若木タワー14F打ち合わせ室
渋谷キャンパス案内

開催要旨

31年間続いた平成が終わり、令和と年号が代わった2019年。平成の初頭に「ブーム」として研究者のみならず、一般社会へも広く知られ、児童文学においては一ジャンルを形成した「学校の怪談」は、子どもたちにとって身近な「怖い話」であったと思われます。子ども向けの読み物や映画として広がり、そしてそれがまた子どもたちの話として広がっていくなかで、かつての子どもたちが大学生や大学院生となり、「学校の怪談」を研究対象として捉えるようになりました。「学校の怪談」は今後どのように研究されるのか。また、研究者自身がどのように「学校の怪談」に関わっていくのか。今回は、学校の怪談と共に育ち、そして、現在それぞれのアプローチで研究をされている若手研究者3名をお呼びいたしました。「学校の怪談」研究について話題を共有し、今後の研究の発展につながる場となれば幸いです。
(文責:企画担当:山川志典)

発表者および発表題目

①川島理想さん
「トイレの花子さん」に関する調査報告—学童クラブでの「怪談」認識調査結果—
 現代の小学生が集る「学童クラブ」という場を対象に、「学校の怪談」について「どんな話をしているのか」ということを調査した結果、話をするということは減少傾向にあることがわかった。しかし、情報が広く出回る現代社会において、「学校の怪談」というワードを知らないわけではない児童も多くいた。
今回は、その中から児童が多く上げた「トイレ」の怪談から「トイレの花子さん」に焦点を当て、児童が「トイレ」空間に対してどのようなイメージを持ち、また、なぜ「トイレの花子さん」が怖いのかということを考察した。

②上島真弓子さん
「学校の怪談」と周辺の物語:創作された「怪異」と「子ども」
 1990年代、「学校の怪談」が流行する中、「学校の怪談」で語られる世界と近い世界観で物語を書く作家も出てきた。先行研究でも指摘されるように、1994年から子どもと怪異を描き続けた香月日輪の「地獄堂霊界通信」シリーズはその代表例と言えるだろう。本発表では、第一作目にあたる『ワルガキ、幽霊にびびる!』を主な題材とし、当該作品に描かれた「子ども」の描写を読み解きながら、他の物語にも触れつつ、子どもと怪異がかかわる際に表れる「逸脱性」について述べたい。

③大島万由子さん
学校の怪談にまつわる一考察—トイレの怪談を中心として―
 本研究は、現代の語りの中に、社会状況や環境の変化、メディアによる影響がどのように反映しているかを明らかにするために、学校を舞台として語られる怪談話と、社会状況との関係を考察する。学校を舞台として語られる「学校の怪談」とは、先行研究によると、特別教室やトイレにまつわる怪談が多いことが指摘されている。そこで、本研究は、まず昭和期と平成期の学校のトイレの怪談の比較を中心に行なう。続いて、「学校の怪談」と社会状況や学校環境との関係を探るため、事例報告が多い2つの怪談を主に取り上げる。

※各発表要旨を追加しました(11月25日)。

以上となります。
お誘い合わせの上、ご参加いただけますとありがたく存じます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。


また、例会でご発表いただける方を随時募集しております。
ご発表いただける方はトップページに表示のメールアドレスまでご連絡ください。
ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。

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